千歳サケのふるさと館で、何かと話題多い千歳川水中観察室。川岸に窓を付けただけで、そのまま川の中がのぞける場所だけに、時に私たちの想像を超えた出来事が起こります。
つい先日の当ブログで、「また色々な生き物が姿を見せてくれる・・・」ようなことを書きましたが、なんと開館20年目にして、観察窓では初めて目にする生き物が登場しました。
こちらは「絶食」やら「試食」やらで、何かと話題をさらっているグソクムシの仲間たち。ついに観察窓にグソクムシが登場・・・・・という訳ではもちろんありません。写真は
葛西臨海水族園さんで撮影したものです。
では、今回の話題とグソクムシ、一体何の関係があるのでしょう。もったいつけて、ちょっと回り道。
グソクムシの仲間は、エビやカニと同じく甲殻類に属し、その中でも等脚目というグループに属します。この等脚目の仲間には、海岸の石の表面を動き回っている“フナムシ”の仲間や
淡水中では、今まで何回も観察窓でも確認されている“ミズムシ”などがいます。
もっと身近なところでは、こんな生き物もそうです。
お分かりでしょうか。ちょっと指先で触ってみると
そう、ダンゴムシ(オカダンゴムシ)です。庭石などをひっくり返すと、よく隠れていました。私は内地出身なので、ダンゴムシは身近にいてよく丸めていましたが、北海道ではダンゴムシはあまり見かけず、よく似たこちらが主流です。
名前は“ワラジムシ”。触っても逃げるばかりで、丸くダンゴになりません。生活場所はダンゴムシ同様、石や木の下、草むらなどの地面にいて、時々人家にも入ってきます。
さて、だいぶ長々と書いてきましたが、今回観察窓で初めて観察された生物とは、何とこちらです。
そう、ワラジムシ。最初は目を疑いました。しかし、どう見てもワラジムシ。窓の前は、水深1.5mほどの川の底です。可哀想に、何かのはずみで川に落ちてしまったのでしょう。時々流されそうになりながら、懸命に砂利の上を這い回っています。しかし所詮は陸上生物。多分すぐ溺れてしまうのだろうと見ていると、5分経っても10分経っても平然と動き回っています。一体これはどういうことだと思いつつ、20分ほど経った頃、最後は川底の砂利の間に潜っていまい、見えなくなってしまいました。
せっかくなので、水中での動きを動画でもどうぞ。
しかし、陸上生活者であるはずのワラジムシがなぜ川の中に?
もしかして、水の中でも生きられる??
そういえば、ワラジムシの呼吸器官って???
ということで、ちょっと可哀想な結果になるかもと思いつつ、早速実験。サーモンパークの林の中からワラジムシを3匹捕獲し、水槽の中へ。水面に顔を出せないようフタをして、弱った様子が見えたらすぐ出せるよう、時々状態を観察していました。果たして結果は・・・・・。
何と、10時間経っても全く問題無し。みんな元気に水槽の中を動いているのです。
もしかして大発見! と、ネットで検索してみると、なぁーんだ、という結果に。
ワラジムシではなくダンゴムシでしたが、水中で生きているのを見たという記述がいくつかありました。
知っている人は知っているということだったようです。
でも、基本的にはやはり空気呼吸のようで、その辺りは大阪市立自然史博物館のQ&Aの中に「
ダンゴムシの呼吸についての質問」という記述を見つけました。こちらのページに寄れば、つまりずっと水中生活はできないということになるようです。
でも今回のワラジムシの発見、自分の中では以前観察窓の前で、川底で踏ん張っているエゾアカガエルを見つけたときと同じくらいの衝撃がありました。まさか、観察窓の生き物リストにワラジムシが加わる日が来ようとは思っても見ませんでしたが、水中生活ができるわけではないと言うことで、まぁ番外編ということになるでしょうか。
今回、ワラジムシ観察中にこちらも見つけました。
こちらは正真正銘の水生昆虫、コオニヤンマのヤゴです。こちらは初登場というわけではありませんが、平べったい体で、サケの稚魚と同じくらいの大きなヤゴでした。この夏には羽化するのでしょう。
千歳川水中観察室、手前味噌ながら相変わらず侮れないすごい場所です。
posted by チトセアメ at 00:00| 北海道 ☔|
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水中観察室
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