今回も、北海道大学の足立先生と学生さん達の全面的なご協力の下に採卵を実施しました。
精子は幸先良く出るかと思いきや、どちらも出ない。
続いてシロチョウザメのオス2匹は・・・・やっぱり出ない。
では、アムールチョウザメのメスは・・・1匹のお腹がだいぶ柔らかく、希望がもてそうでしたが、やっぱり2匹とも出ない。
次はいよいよハクちゃん(22歳のシロチョウザメのメス)は・・・やはり出ない。
結局1回目の確認は、全敗に終わりました。
気を取り直して、14時から2回目の確認・・・ 全敗。
さらに18時から・・・・・、そして22時・・・・・・・ 結局、この日は何事もなく終わってしまいました。
この時点で、かなり嫌なムードが漂い始めました。
北大の皆さんがホテルに戻られた後、日付が変わり18日の午前1時。
1人残ってとりあえずメス3匹のお腹を押してみましたが、卵はやはり出てきません。
一旦帰宅してシャワーを浴び2時間仮眠。半分諦めつつも午前5時に出勤し、祈るような気持ちで水槽を覗くと、ありました!
こぼれた黒い卵が、水槽の底にたくさん落ちています。
メスのお腹を確認すると、どうやらハクちゃんの卵のようでした。
さて、携帯電話で皆さんを起こして非常招集。ここからは大忙しです。
麻酔をかけ、ハクちゃんお腹をしぼるとこの通り。
出るわ出るわ。前回の卵に比べ、状態もとても良さそうです。
でも、肝心のオスの精子は、どうしても出てきません。そこで、受精率が下がるのは承知で、足立先生が準備してくださった、シロチョウザメの冷凍精子を使いました。
この缶の中で、精子は液体窒素によって冷やされています。精子は細いプラスチックの管に入れられていて、それを使って授精させました。
チョウザメの卵は粘性があって、ベタベタとくっつくので、受精後は脱粘処理をしてくっつかないようにしてやらなければなりません。
ヘラでかきまぜ、薬品を何回も換えながら粘性をとっていきます。
粘性をとるのにかかる時間は、1ボール当たり約20分。次々採れる卵に、人手の方が足りなくなってきました。みんなでかき混ぜていると、ちょっとした料理教室の雰囲気です。
その後、ハクちゃんを休憩させながら全部で4回採卵しました。
採れた卵はご覧の通りです。
直径25cmほど、高さ50cmほどの孵化用容器に入った黒いチョウザメの卵は、推定10万粒くらいあったでしょうか。しかし、凍結精子なので、受精率が気になります。少し経ってから卵を顕微鏡で見ると・・・。
中央の卵に、卵割が起きているのがご覧いただけるでしょうか。
割合はかなり低いものの、どうやら授精しているものもあるようで、一安心。
18日18時、最後にもう一度だけアムールチョウザメを確認して終了しましょうということになり、すっかり油断したムードの中、オスを確認すると、何と出ました。
注射器の中に白く濁った液体が。フレッシュな精子です。
これでメスが出たら笑い話だね、何ていいながらメスをしぼると、注射から30時間以上経過しているのに、これまた見た目とても良い卵が出てきました。
結局このまま、今度はアムールチョウザメの採卵が始まりました。日付変わって19日午前0時の採卵でとりあえず終了。朝8時から再び卵を採り、最終的にはアムールチョウザメも2、000〜3,000くらいの卵は採れたように思います。しかも、こちらは精子の活きも文句なし。
この3日間で睡眠時間約5時間。さすがにバテましたが、シロもアムールも人工授精にこぎ着けられ、ちょっと興奮気味で、あまり眠気は感じませんでした。
シロチョウザメもアムールチョウザメも、無事孵化すれば道内初の成功例となるようです。
孵化予定はおよそ10日後。果たして今回は上手く孵化してくれるでしょうか。
結果報告を、楽しみにお待ちください。
ラベル:チョウザメ