2000年に外来魚をテーマとした企画展を行っていますが、今回は北海道
ブルーリスト掲載種を中心に、魚類のみならず様々な生き物を展示します。
また、初めて海の外来生物の展示も行う予定です。
先日、企画展に展示するための生物採集に、阿寒湖近くのオンネト-まで、
早朝出発で往復約600kmの日帰りドライブに行ってきました。
初めて道東自動車道を走りましたが、トンネルの多さには少々ウンザリする
ものの、その時間短縮の度合いと、時々現れる十勝らしい雄大な景色は、
なかなかものでした。
採集場所はこちらです。
北海道三大秘湖の一つ、神秘のコバルトブルーを呈したオンネトーの奥にある
天然記念物「湯の滝」の池とそこから流出した河川です。
今回は、阿寒湖自然保護官事務所にご協力をお願いし、採集の許可をいただき
ました。
池を覗くと魚の姿が・・・
泳いでいるのはコイでもフナでもありません。
なんと、熱帯魚の「ナイルティラピア」と「グッピー」でした。
誰が放したのかは分かりませんが、温泉水の影響で水温が30℃近いため、
定着してしまったらしいです。
まずは、池から流れ出る河川に入って採集です。
こんな風景の、とっても良い感じの川なのですが、網を入れると捕れるのは・・・
グッピーです。オスのオレンジの模様などは、きれいですね。
そこかしこにウジャウジャ群れ泳いでいて、なんぼでも捕れます。
あっという間に展示用の個体を確保し、次はティラピアに挑戦です。
グッピーよりかなりすばしっこく、網ではなかなか歯が立ちません。
そこで作戦変更。
釣りに切り替えました。ティラピア釣り。エサは、先ほど採集した
グッピーです。針を落とすこと数秒ほどでヒット!
ほぼ入れ食い状態で、こちらもどんどん釣れます。
1時間もかからずに、グッピーもティラピアも、展示数量を確保でき、
現場を後にしました。
お忙しい中、現地まで同行してくださった阿寒湖自然保護官事務所の
皆さん、本当にありがとうございました。
採集結果の一部がこちら。
夏季企画展は7月14日から始まります。
採集したティラピアと、グッピーもご覧いただけます。
皆さまのご来場を、お待ちいたしております。
ラベル:外来種
北海道の、素晴しい川にテラピアやグッピーがいるのは、とっても残念でなりませんね・・・
彼らが生息できるのは、温泉水や温排水などの影響があるような環境なので、むしろ本来の?北海道の河川の姿とは少し異なるのでしょうが、その違いが大事だったりする場合もあります。このオンネトー湯の滝は、マンガン酸化物生成地として天然記念物に指定されていますが、そのマンガン生成現象を作る藻類をナイルティラピアとグッピーが食べてしまい、先日行ったときも、藻類はほとんど見られない状況でした。
ティラピアもグッピーも、口内哺育や卵胎生などの興味深い生態を持つ、美しく魅力ある魚なのですが、人間の行った放流によって、こんな扱いを受けなければならなくなってしまうことに、何ともやるせない気持ちになります。